2010年05月14日
【メディア】日経新聞(夕刊)に掲載されました
落書き・アートに仕立てる
日本経済新聞・夕刊 2010年5月8日
いい話だなぁと、ホッとする。佐藤健郎さん。物心ついた時から吃音障害があった。人前で話すのが苦手で転校のたびにいじめにあった。言葉のかわりに落書きで表現するのが好きになった。将来は画家になる。それが佐藤少年の夢だった。飲んだくれの父から逃れるように故郷の大分を離れる。東京のグラフィック専門学校へ進み、広告代理店に就職した。それでも、絵の道が忘れられなかった。
そんな時、アートコンテストの話が舞い込んだ。「これでだめなら諦めよう」。健郎さんはキャンバスに向かった。ところが、筆が進まない。ふと、3歳の長男、一太郎君の落書きが目にとまった。波打つ曲線がいかにも楽しげだ。幼いころを思い出した。曲線から突然、角が生え、足が伸びた。口、ツメが見える。おっ、怪獣だ。背景に四角形をいくつか描き入れてみた。規則と不規則が融合したユニークな作品になった。
コンテストで、この「トイ・モンスター」は見事入選。「もう少し頑張ってみろ」。神様からそう言われたような気がした。
今、健郎さんは42歳。らくがきART社の代表クリエーターだ。絵画教室やワークショップで集めた落書きをアートに仕立てている。子どもと芸術家のコラボレーションである。売れた絵の収益の20%は落書き原作者の子どもたちや地域に還元している。
健郎さんの応援団も増えてきた。特定非営利活動法人(NPO法人)SCHEC(カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会)と協力して途上国の子どもの支援にも乗り出す。「貧しい子の絵にもびっくりするくらい、いい落書きがあるんですよ」
(編集委員 原田勝広)
日本経済新聞・夕刊 2010年5月8日
いい話だなぁと、ホッとする。佐藤健郎さん。物心ついた時から吃音障害があった。人前で話すのが苦手で転校のたびにいじめにあった。言葉のかわりに落書きで表現するのが好きになった。将来は画家になる。それが佐藤少年の夢だった。飲んだくれの父から逃れるように故郷の大分を離れる。東京のグラフィック専門学校へ進み、広告代理店に就職した。それでも、絵の道が忘れられなかった。
そんな時、アートコンテストの話が舞い込んだ。「これでだめなら諦めよう」。健郎さんはキャンバスに向かった。ところが、筆が進まない。ふと、3歳の長男、一太郎君の落書きが目にとまった。波打つ曲線がいかにも楽しげだ。幼いころを思い出した。曲線から突然、角が生え、足が伸びた。口、ツメが見える。おっ、怪獣だ。背景に四角形をいくつか描き入れてみた。規則と不規則が融合したユニークな作品になった。
コンテストで、この「トイ・モンスター」は見事入選。「もう少し頑張ってみろ」。神様からそう言われたような気がした。
今、健郎さんは42歳。らくがきART社の代表クリエーターだ。絵画教室やワークショップで集めた落書きをアートに仕立てている。子どもと芸術家のコラボレーションである。売れた絵の収益の20%は落書き原作者の子どもたちや地域に還元している。
健郎さんの応援団も増えてきた。特定非営利活動法人(NPO法人)SCHEC(カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会)と協力して途上国の子どもの支援にも乗り出す。「貧しい子の絵にもびっくりするくらい、いい落書きがあるんですよ」
(編集委員 原田勝広)
Posted by じゃーまね at 00:51│Comments(0)
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